2007年10月4日木曜日

イミテーション・ジュエリー

あえてイミテーション・ジュエリーを使ったシャネル

宝石が未だ地位や資金力の証明であった時代に、あえてそれを否定し、美しくセンスのいい物が価値があるのであって、デザインによって価値を産むことができることを結果的に(あるいは意図的に)挑戦的に主張した傑作がシャネルのイミテーション・ジュエリーです。

実際のところ、今の私からみても、本物の宝石としての価値以外を持たない宝飾品が多いものです。たて爪のダイヤの指輪なんて、まさしくその典型!!なんであんなものを欲しがるのか分からないし、きっと今後悔している方も、リフォームされた方も多いでしょうね。

別に本物の宝石が嫌いなわけじゃない。しかし、シャネルにしてみれば、高価な宝石を贈られることで、かえって自分が身につけたいものは自分が美しいと思えるもので、決して値段ではないという明確な考えが確立したのかもしれませんね。もしかしたら、本物の宝石をお金を出して買わなければならない人たちは、独自に美を創出できない可哀想な人たちに見えたかもしれません。

昔、シャネルのバッグについていたチェーンとファスナーの金具でチョーカーを作って得意になっていた私としては、きっとシャネルだってそれくらいの事はしただろうと思えるのです。高価なクラッチバッグを分解して、何するんだと思えるかもしれませんが、思いついてやってみたら、結構好評で、みんなにどこで買ったのと尋ねられました。バッグはそのままでも持てますし、メダルの変わりにつけるものはいくらでもありますもの。

シャネルのイミテーションジュエリーだって、素敵に作れば、素敵にみえるし、いくら本物でもダサいものはダサい、というだけのことだったのではないでしょうか。彼女のイミテーションジュエリーは決して安かったわけではありません。しかし彼女のセンスが彼女の価値観が本物ではないものに、本物に匹敵する価値を与えることができるのだということを結果的に証明しました。

現在では、本物の宝石を使用していても、それだけで価値をみとめられなくなっています。どの宝飾メーカーもそのデザイン性と加工技術を競っています。美しいものにさらに美しくするのなら、マドモアゼルも苦情はいわないことでしょう。結果的に、宝石商が彼女の主張を認めたわけですから。

そして、いまではシャネルも、今までのイミテーションジュエリー(模造品という意味ではなく宝石を使用していないという意味のイミテーション)ではなくファインジュエリーの 販売も開始ししました。結果的にここでも、シャネルの価値観にやっと世間が追いついてきたのでしょうね。

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